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《コラム 令和元年から》

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長野日報土曜コラム 令和2年3月28日掲載

163 お金と付き合う2(最終回)

 

大変長きにわたりお読みいただいた本コラムが最終回となる。こんなに長く続くとは思いもよらなかったが、当初はファイナンシャルプランニング(FP)を多くの方に知って欲しいという思いから始まった。前回と今回はこれまでコラムを作成しながら私自身が感じたことをまとめている。

 

FPを修得する

 

これまで知らなかったことを知ることは面白い。金融商品投資は株式、投資信託、債券などが投資対象であることは知っていた。それぞれが変動することも知っていたが、それらの変動要因、仕組み、特徴、リスクなどには関心がなかった。

 

ただ資産が増えれば良く、上昇すれば投資の銘柄や時期選択は自分の手柄、下落すれば営業担当者や景気が悪かったと思っていた。

投資は上がるか下がるか、勝つか負けるか、ギャンブルと変わりないマネーゲームでしかなかった。こんなものに苦労して稼いだお金をつぎ込むのは、何か違うと感じていた。

 

金融商品や保険、不動産経営など直接関わっていたが、詳しくは知らない。経験上は知っていても本質を知らない。そんなモヤモヤした気分を晴らしてくれたのはFP資格のスキルであった。

 

保険には法則や原則が存在する。「大数の法則」は個々の現象は偶発的なことでも、繰り返し大量に観察すると一定の法則が見出せることである。人の死や自動車事故は個人にとって最初で最後でも多くの人から見ればそれぞれ一定の割合で発生している。

 

「収支相当の原則」は契約者から払い込まれる保険料の総額とその運用益の合算が保険会社の支払う保険金の総額と保険事業を維持する経費に等しくなるように計算されている。契約者が支払う保険料にあらかじめ会社利益が含まれ値段が設定されている。

 

株式が上昇すれば債券価格は下落するように、互いは反対の動きをする。景気は常に変動するので、互いにバランスよく保有することでリスクを抑えることができる。

 

リスクを抑えることは大儲けも大損もしないで経済の波に乗ることになる。これは変動に対して精神を安定させる効果がある。

 

アパート事業に伴い確定申告をすると改めて源泉徴収制度について考えるようになった。源泉徴収制度は各国が戦費を集めるために設けた制度であった。戦争は終了したが、国民から納税感を薄れさせ効率的に税金を集める方法として現在も継続している。

 

自ら計算して納税する確定申告では節税に知恵を働かせるが、源泉徴収制度では勤務先が行うので個人の操作範囲はほとんどなく節税にも関心がもてない。

 

FPのスキルは保険、金融、タックス以外に社会保険、不動産、相続に広がる。これらは生きる知識として必要であるが、学校教育ではほとんど教えられない。

 

スキルの体験は人生で何度もないが、必ず一度や二度は経験する。そしてその時が初めてであればどうすればいいか分からず、パニックに陥るかもしれない。

 

可処分所得の最大化への疑問

 

FPのスキルは生きるためまた賢く生活するためには知っておきたい知識群である。

税務制度、社会保障制度、金融保険知識、贈与・相続、不動産などの法律関係を知っておけば個人の生活設計が上手に立てられる。

 

このような知識が増えてくると人は自分に有利になるように考えるだろう。入ってくるお金や運用はより多く、出ていくお金をより少なくする。自分で使えるお金である可処分所得の最大化を図ろうとする。

 

この感覚がエスカレートするとスポンサーがいる飲み会には喜んで出かけるが、そうでない時は欠席か割り勘にする。最安値の買い物を好み10円でも安ければ遠くの店まで出かける。自分が購入したものが他でより安く売られていれば悔しがる。

 

損得勘定が先鋭化し、お金を基準にした生活に陥るかもしれない。人生でお金持ちは勝ち組で貧乏人は負組である。お金がステイタスであり自由度を表しパワーであり人生の全てである。このような人は守銭奴と呼ばれ、他人に対する寄付やボランティアなど考えられない。

 

ここまで極端な思考や行動は取らないにしても、自分の中にも守銭奴が育ってくる。お金に詳しくなりお金とスマートに付き合うつもりがいつしかがめつくなり、お金に振り回されるようになっていく。

 

そこで人生の目的を考えるようになった。法人の目的は経営の継続であり、事業を拡大し、社員を雇用し、サービスや商品を世の中に提供し、税金を払いながら社会に貢献を続ける。そのために法人は利益の最大化の追求がある。

 

しかし個人の場合は寿命があり感情を持っている。誰もが個人の夢や希望を叶えるために可処分所得を最大化してお金を集めなければならないのだろうか。子供を東京の私立大学に通わせ大きな家を持ち、高級車に乗って、老後は海外旅行にも頻繁に行くことが個人の夢や希望だろうか。

 

お金は私たちの生活に欠かせない道具であるが、決して最終目的ではない。人生の目的は人が幸せに暮らせることであり、お金はそれをサポートする道具である。

 

お金が増えれば人生を幸せに暮らす選択肢は増えるかもしれないが、お金が増えたからと言って必ず幸せに暮らせるわけではない。お金は身の丈に合わなければ自分を傷つけることがある。

 

お金の使い方

 

FPはお金の運用や生活設計の見直し、お金の貯め方や殖やし方を指導する。個人にとって大事なことは貯め方や殖やし方と同様にお金の使い方である。お金の使い方は個人の生き方そのものであり、それは人生の目的の実現や人生の過ごし方に通じる。

 

生き方なんて一人ひとり異なり自身で考えることであり、ファイナンシャルプランナーが口を挟むことではないし、求められてもいない。

しかしお金を稼いで貯めて使う一連のつながりを考えればお金の使い方を無視することはできない。人それぞれ異なるといっても、人にとって好ましいお金の使い方を知っておきたい。

 

人の人生は幸せに暮らせることが大事だと思う。幸せになるためにお金を貯めている人は多い。幸せの感じ方は人それぞれ異なり、スウィーツを食べている時やお酒を飲んでいる時に幸せを感じるという人がいるが、ずっと食べたり飲んだりしてはいられない。瞬間的な幸せは快楽に分類される。

人生という長い時間の中で幸せというと「充実、満足、やりがい」のある人生であり、目の前の欲求を満たすだけでは物足りない。

他人との結びつきが人生の幸福度に影響する。人との雑談が多い人ほど幸福度が高いといわれるが、その通りだろう。人と雑談をしている時は誰もが笑顔である。

 

感謝の気持ちがあるときに怒りは存在しない。当たり前にあると思っていたことが奪われれば悔しいが、無いものと思っていたところに与えられれば感謝が生まれる。

 

人から与えられれば喜びを感ずるが、与えられるより与えるほうが更に大きな喜びを感ずる。この感覚が継続的な寄付やボランティアに通ずる。相手が喜び自分はもっと喜びが得られれば、互いに幸せな行為である。

 

やりがいは仕事を通じて感じることが多い。お金を稼ぐために行う仕事ではやりがいは感じられない。自分の仕事で相手の喜ぶ顔が浮かべばやりがいを感じる。人のリアクションで幸せになれる。

 

人生の目的である幸せを感じるには実はあまりお金を必要としない。年収と幸福度の関係も一定金額を超えると相関が無くなる。

大事なことは自分の意識をどこに持っていくかだろう。「何とかなるさ、きっとうまくいく」とポジティブに考え、感謝の気持ちを持っていれば幸せが訪れるだろう。

 

お金のことを考えていたらこんなところに来てしまったが、その間多くのことを気づかされた。本コラムを通じて多くの人が喜んでいたことを知り、大変励みになった。執筆自体は苦しいが、励ましという幸せがあったから続けられた。

 

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