ファイナンシャルプランナーオフィスのテヅカプラニング

TEL:0265-72-1846

明るく豊かな生活実現のお手伝い

《コラム 令和元年から》

テヅカプラニング

有限会社

長野日報土曜コラム 令和1年10月26日掲載

158 借金癖のある人

 

借金は身近な日常行為

 

借金をせずに一生涯通すことのできる人は稀かもしれない。子供のうちはお金を稼ぐ術もなく欲しいものは親が買い与えてくれた。親から与えられたもので満足しそれ以上を求めることはなかった。

 

初めて借金を経験するのは大学に進学する時かもしれない。一時的に発生する受験諸費用、入学金、学生時代を通じて発生する授業料、施設管理費、生活費、住居費などがある。

 

学校が私立か国公立、自宅通学か下宿かによって費用は大きく異なる。最近では理工系学部では大学院に進む割合が高まり負担は大きくなった。

奨学金だけで不足する場合は民間金融機関の教育ローンを利用する。日本学生支援機構奨学金の私立大学自宅外では300万円、教育ローンで500万円双方を借りれば卒業時に800万円の借金を抱えて社会に出ることになる。

 

この金額は卒業後20年間金利負担がないとしても月々3.3万円の返済となる。このような借金を抱えて社会に入れば中途退職は簡単にできない。過酷な職場では借金に追われながら将来が見出しづらい。

 

現在奨学金を利用する学生は半数近くになり、年々その割合は高まりつつある。高等教育を受けるために借金をするが、学生のうちから借金をすれば借金に対する抵抗は薄れる。

 

社会人になり初めて借金をするのがマイカーローンかもしれない。かつてほど若者のマイカーに対する欲求は高くないかもしれないが、地方で生活するにはマイカーは必需品である。

 

給与を少しずつ貯めて一括購入すれば金利負担はないが、働き始めて通勤に使用するなら購入資金は親から借りるかローンを利用するしかない。

最近ではキャッシュレス化が進み現金で支払う機会が少なくなった。キャッシュレスによりカードにポイントが貯まりさらに割引がされるとなれば当然現金支払いは少なくなる。

 

クレジットカードでは該当期間に利用した分が翌月に請求される。利用してから引き落としまで約1カ月あるので、その間は借金である。ただし利用分を一括支払いでは金利負担はない。

 

カードで支払うと都度財布から現金が出ていかないので、痛みがなくどのくらい使ったのか把握しづらい。つい使い過ぎて一括支払いができなくなればリボ払いを選択せざるを得ない。こうなれば重い金利が上乗せされた借金となる。

 

ポイント還元の甘い言葉に誘われてつい使い過ぎれば、それ以上の金利負担を強いられる。これは多重債務の入り口に立ったことになる。

 

借金癖のある人の特徴

 

借金癖のある人には共通する特徴があるといわれる。まずあまり現金は使わずカードを頻繁に使う。現金は財布に入っていなければあるだけしか使えない。今日一日の行動を考えれば今使えるお金は限られる。

 

カードではお金を使っている感覚がないためつい使い過ぎる。現金がその場で消えることがないので、欲求本能に左右される。

次に見栄っ張りの性格の人が多いといわれる。人前で良い格好をしたいので、自分の持ち物に身の丈以上にお金をかけ、おごったり贈り物で自分の存在を高めようとする。計画性はなくその場その時の気分でお金を使う。

 

ギャンブル好きな人が多い。勝つことだけを夢見て負けた後のことはあまり考えない。損失が発生しても何とかなるだろうと楽観的でいて、損失を埋めるために再びギャンブルを行う。

 

負けず嫌いでギャンブルに勝てば自分の手柄とし、負ければ運がなかったとか相手が悪かったと自分の実力を疑うことをしない。

そしてまとまった大きなお金を引き出さず、小出しにお金を引き出す。ATMやコンビニでお金を引き出すので、その都度わずかながら手数料が取られる。

 

浪費家が多い。現在保有しているものを把握していないので、同じものを買ってしまう。衝動により購買するので無駄遣いが多い。使うほうを優先するので貯蓄はほとんどできない。お金があれば何に使おうかと思考が支出に向かう。

 

毎月20万円の収入があるのに30万円を使ってしまえば10万円が不足する。現金で生活していれば20万円以上払うことはできないが、カードやキャッシングを利用すればお金として使うことができる。ただし借金なので来月以降にその支払いは訪れる。

 

毎月支出を15万円に抑えられれば、5万円ずつ貯蓄に回すことができる。一方借金すれば利息をつけて返さなければならないので、自分で使用できる金額は減る。小学生でもわかる簡単な話である。

 

お金は物やサービスの経済的価値を表す論理的な代物であるが、それを利用する人は常に論理的でいられるとは限らない。

感情的な人や感情を揺さぶられやすい物事には論理は後回しになる。何とかなるだろうと今を満喫したいが最優先される。

 

欲求のメカニズム

 

借金癖を治す方法としていくつか紹介されている。例えば現在欲しいものを書き出してリストを作成し、それぞれがいくらするのか金額を書き入れる。客観的に自分の欲求と向き合うことで本当に欲しいものか必要なものかを吟味する。

 

普段から出かける際にクレジットカードを持ち歩かない。現金しか持っていなければそれ以上を使うことができない。また衝動を誘うような場所には近づかない。

 

すでに多重債務に陥っているならば、この際債務整理をして借金をできなくする方法もある。この方法は家族、友人、知人、職場などからお金を借り、返済できずに相当迷惑をかけている人には適当かもしれない。

 

これらは論理的な対処方法なので感情を優先する本人にどのくらい効くか不明である。実は借金癖を治す方法はないともいわれている。

借金をしてしまう人は欲求を我慢できない特徴がある。その欲求には楽をしたい、良い格好をしたい、見栄を張りたいなどがある。

 

これらの欲求は人に備わる欲求5段階のうち「承認欲求」からくるといわれる。5段階の欲求は下位が満たされると上位に向かう特性がある。

 

最も下位の生理的欲求、安全欲求、所属と愛の欲求等はすでに多くの日本人は満たされている。よって次の「承認欲求」を多くの人が抱きやすい。ちなみに最上位には自己実現欲求がある。

 

承認欲求は他人から認められたい、称賛や尊敬が欲しい、地位や名誉が欲しい、みんなから注目されたいなどの欲求である。SNSで「いいね」を多く集めようとする行動でもある。

 

この欲求を満たすために見栄を張り、身の丈に合わない消費行動をとり、自分が他より勝っていると感じたい行動をとる。

承認欲求の強い人は裏返して見れば自分に自信のない人である。欲求が強いとは不足しているから満たそうとして強くなる。本人は自尊心が低く、劣等感が強い人かもしれない。

 

また条件付きの愛情で育った人に多いという。親の言いつけを守り、行儀をよくすれば褒められる。愛されるためには何らかの条件をクリアしなければならない。存在するだけで愛されるという無条件の愛を感じた経験が少ないのだろう。

 

他人の言動を意識し他人と比較することをやめて、自分で自分を認めて褒めるようにするのが良い。そのためには自分なりの目標と計画を立て、達成出来たら自分で褒めてやる。小さいことの積み重ねがやがて達成感となり自信に変わる。

 

「承認欲求」には他者承認と自己承認があり、他者承認は他者と比較し他者に振り回されがちである。自己承認は認めるのは自分であり、満たされれば心から満足できる欲求であり承認欲求の中で高次の欲求である。この欲求がさらに高次の自己実現欲求につながる。

 

 

有限会社テヅカプラニング 〒396-0013 長野県伊那市下新田3110-4  TEL0265-72-1846 FAX0265-74-7722

Copyright(C) Tezuka Planning Corporation. All Rights Reserved