21 生きがいは大事
退職後は年金で不足する分を退職金やこれまでの貯蓄から取り崩して生活する。不意な病気や介護生活に陥れば取り崩す金額はさらに増える。元気で長生きをしても取り崩す期間が長くなりここでも年金だけでは不足するかもしれない。
お金に関して言えば生涯現役でお金を稼ぎ続けたら安心して豊かな老後を過ごせるだろうか。
老後は悠悠自適
現役時代は常に追われる状態が続く。取引先からの問い合わせや注文、上司からの仕事の依頼、メールや電話や伝言など次から次へとやらなければならないことが切れ間なくやってくる。
せめて長期の休暇ではスマホやPCを手放し電波の届かない場所に出かけたいものだ。人との交信を遮断することが自分にとって最大の休息と考えられる。
よってできれば退職は定年前に十分な資産を形成して早期退職を夢に描く人もいるだろう。定年後いつまでも会社にしがみついて働く姿は格好悪く映るかもしれない。
しかし子供がいれば学校を卒業するまでは支援するのが親としての務めだし、早期退職はなかなか難しい。せめて定年退職後はのんびりと人と交わることなく静かに暮らしたい。田舎に戻って農業をしながら自給自足の生活をしてみたいと願う男性は少なくない。
そんな願いを妻にいきなり切り出せば熟年離婚になりかねない。妻からは田舎に行くのならば一人で行って、私はこの地に一人で暮らす。
一ヶ所に長いこと住み続ければそこに親しい友達ができる。その友達と離れて暮らすことは妻には考えられない。便利とか不便とかより今あるコミュニティーは何物にも替え難いものである。
とかく男性は現状のマイナス要因に注目し、これを取り除こうと新たな夢を見がちである。
生きがいは相手の喜び
退職すれば毎日やることがなく、午前中は新聞、テレビ、散歩、午後のパチンコ、夕方からの居酒屋通いだけではつまらない日々を過ごすことになる。
かつての仕事仲間に連絡しても、仕事を通じて上司と部下であり仕事が無くなれば他人同士。久しぶりに杯を酌み交わしてもいつしかかつての仕事の話にたどり着けば次の会う約束はなくなる。
こんな日々を送っていればかつての自分のほうが輝いていたことに気づくだろう。仕事は大変だったが、給与をもらいながら仕事でやりがいを感じていた。
「やりがい」を調べていたら「相手を喜ばすことでやりがいが得られる」とありました。この通りだと思う。
仕事を通じて相手を喜ばせれば達成感が得られる。気の合う仲間とおしゃべりすれば互いに喜びを感ずる時間を過ごせる。困っている人を助ければ相手は喜んでくれる。
仮に生涯困ることのない資産を準備でき早期退職できたとしても喜ばせる相手がいなければ寂しい老後があるだけだ。仕事上の人間関係に耐えられず逃げ出してもストレスは減少したが達成感も失うことになる。
どんな職種でも必ず喜んでくれる人はいるはずだ。そこに気づかなければ生きがいにも気づかないだろう。生きる上でお金は大事だが生きがいはもっと大事かもしれない。
ボランティアや寄付行為はお金を稼ぐことしか関心のない者には受け入れがたい行為である。これらの行為の先には喜んでくれる人がたくさんいる。ボランティアや寄付を自分のライフワークにする人はこの達成感の経験者と思われる。
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