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《コラム 令和元年から》

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5 相続はもめるのが当たり前

 

相続でもめて兄弟姉妹がばらばらになったというのはよくある話。あなたの家ではいかがでしょうかと尋ねれば、「うちはもめるほどの資産がないから心配ない」という答えが返ってくる。

 

相続でもめる家は資産がたくさんあり、兄弟姉妹が強欲だからもめると思われている。我家は資産が少ないから相続ではもめないだろうと楽観している。

 

司法統計によれば家庭裁判所における調停や審判の件数は年々増加している。そのうち相続税がかからないケースが75%近くを占めている。相続税がかかるような資産家では相続税対策と共に兄弟姉妹がもめないように事前に準備していることがある。

 

相続は何も準備をしなければもめるのが当たり前である。面倒くさいことは誰もが敬遠しがちで親は子に任せ、子は親に任せていては互いのすれ違いから相続でもめることになるでしょう。

 

守るべきは今の生活

 

相続時の親の年齢が80歳代であれば、子の年齢はおおよそ50歳代になる。親から独立して約30年、結婚して20年以上が経過している。子供がいれば高校生や大学生でこれから教育費はまだまだかかる。

 

そして住宅ローンも残っているかもしれない。定年退職が徐々に近づいてくると今後の昇給も退職金もはっきり認識できる。

 

さらに社会保障では年金支給年齢は今後上がり、給付額は抑えられるでしょう。これから医療費の自己負担も増えるかもしれない。

 

出て行くお金はまだまだあるのに、入ってくるお金は限定される。定年後に働き続けても今と同等の収入を得ることは難しい。こんなときに親の相続があれば、例えどれだけでももらいたいものである。

 

兄弟姉妹と一緒に過ごした時間以上に今の家族と過ごしてきた。そしてまだこれから一緒に過ごしていくだろう。離れて暮らす兄弟姉妹の生活振りは具体的には分からない。

 

自分は兄弟の仲を重要視しても配偶者は家族の生活を優先的に考える。言葉に表さなくとも配偶者の意図は感じられる。

 

このような背景がありながら自分はいくらでも良いとは決して言えない。本音を押し殺し均分相続だから兄弟均等分割を前提にしたい。もめたくはないが譲ることは決してできない。

 

もめる原因は金額の多寡ではない

 

かつては親の資産のほとんどを長男が相続する家督相続があった。当時は「家」を継承する目的があり、相続のたびに資産を分散しては家が代々継続し発展することは難しくなる。

 

長男が家を離れ親の面倒もみず地域とのつながりもなく生活していれば、長男だからといって相続分が多くなる理由は見当たらない。長男はマイホーム取得時に親から相当の支援を受けている。教育に関する支援も他の兄弟と異なる場合がある。

 

兄弟が親から全く均等に支援されて今に至ることはまずない。親からの支援の量は愛情と比例していると受け止めがちだ。

 

言葉に表れない思いがこのときとばかりに噴出するかもしれない。譲ることができず均等分割に拘る理由はこれまでの支援のされ方に影響される。

兄弟間の拗れを解くことができるのは親自身になるでしょう。兄弟は幼い時に仲良く遊んだが今はそれぞれの家庭を持っている。親の思いをしっかり伝えることで相続のもめごとは減少するでしょう。

 

 

 

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